山口奨学桜

記念の桜

全国でも珍しい古典桜の密集地である「置賜さくら回廊」の中で、この山口奨学桜は唯一のソメイヨシノである。樹齢は100年そこそこだがソメイヨシノとしては十分に古木といえ、筆者が初めて訪れた2011年にはそれなりに損傷が目立っていたと記憶している。当時はまだ樹幹が大きく花を付けない枝も目立っていたと思うが、久しぶりに来てみると枝が剪定され、こざっぱりとしていた。

奨学田を作った校長、小嶋太栄治氏の退任の際、記念碑の建立とともに植樹された桜で、根元には「小嶋奨学田碑」と刻まれた記念碑が立っている。案内板にも書かれていた奨学田とはどういうものか調べてみたが、よく分からなかった。おそらくは田んぼを運営することにより得られた収益を児童の教育のために使ったのだろう。そもそも田畑の多い地域ではあるが、小学校跡をぐるりと囲むようにして今なお田んぼが残っている。

剪定された奨学桜は非常に均整の取れた形をしていると思う。樹冠は小さくなったがこれはこれでアリだろう。置賜ではここ10年ほどで樹勢が衰え、往時の見る影もない名木も数ある。お隣の福島には元気な名木が多いのになぜこのエリアではこんなにも桜が弱っていくのか。などとモヤモヤする思いもあったが、その一方で大切に手入れされ、樹勢が回復している桜もあることが今回の訪問で分かり、嬉しくなった。


Note山口小学校跡地に残るソメイヨシノの古木。この地に奨学田を作った当時の校長小嶋太栄治氏が退任した1911年(明治44年)、その記念に「小嶋奨学田碑」を建て、その傍に植樹されたもの。桜が樹齢88年を迎えた1999年(平成11年)に山口奨学桜と名付けられた。
撮影2024年4月14日
名称山口奨学桜
別称なし
樹種ソメイヨシノ
所在地山形県西置賜郡白鷹町山口2512
指定なし
樹齢110年(1911年植樹)※
樹高不詳
根回不詳
幹周不詳
枝張不祥
出典 ※現地案内板