弘前公園

弘前公園の桜

日本一の桜の名所

世に桜の名所は数あれど、日本一の名所はと問われれば、私は弘前公園を推します。同じ考えの人は少なくないのではないでしょうか。
冠雪した山を背後に臨む、そのロケーション。花筏に染まる堀。城内外を埋め尽くす圧倒的な花密度の桜。桜。桜。そのいずれを見ても、感情を揺さぶられずにいられません。

弘前公園

弘前の桜はなぜ特別なのか。その理由の一つに、リンゴ栽培の技術が応用されていることが挙げられます。枝が横へ横へと広がり、日の光が隅々に行き渡るように剪定されています。そのため、一本の枝から咲く花数が一般的なソメイヨシノの倍ほどもあります。

弘前公園

弘前公園

一般的にソメイヨシノの寿命は70年といわれますが、弘前公園には100年を超える古木も珍しくありません。中でも日本最古といわれているのがこの桜。

日本一古いソメイヨシノ

日本一古いソメイヨシノ

樹高9m、幹周4.4m、1882年に植栽されており、樹齢は140年に達します。

公園内には日本一幹が太いソメイヨシノも。

日本一太いソメイヨシノ

樹高10m、幹周5.3m、樹齢は少なくとも120年以上とされる古木です。

園内にはソメイヨシノの他にシダレザクラの名木もあります。
これは棟方志功が名付けた御滝桜。

御滝桜

青森出身の棟方志功は弘前公園の観桜会のポスターを手がけています。

こちらは樹齢100年の二の丸大しだれ桜。

二の丸大しだれ桜

100年前に宮城婦人会から寄付されたという桜。桜の名所の中にありながら一際目を引く大きな姿で人気を博しましたが、私が訪れたこの年の冬に大雪で損傷し、今は再生治療中です。

見どころの多い弘前公園ですが、できるなら桜が散り始める頃がおすすめです。

弘前公園

風が吹くごとに堀に花びらが注ぎ込まれ、水面が無数の花筏で埋め尽くされます。このような景色は弘前公園でしか見られません。

弘前公園

冬が辛く厳しいからこそ、春はこのようなご褒美をもたらすのでしょうか。見上げれば花。見下ろせば花筏。南風に舞う花吹雪の中を歩けば、夢のような心地すらします。世に桜の名所は数あれど、日本一の名所はやはりここ弘前公園。この景色を一度目にすれば、そう思わずにはいられません。

-Notes-

撮影:2011年5月4日、2022年4月23日
所在地:青森県弘前市下白銀町1
概要:
弘前公園の桜の歴史は、1715年に弘前藩士が京都嵐山から25本のカスミザクラを持ち帰ったのが始まりとされている。その後弘前藩は廃藩となり、あれた弘前城を憂いた旧藩士の内山覚弥、菊池楯衛が続けて桜を植樹。明治維新の混乱期に一時頓挫するも、内山らの働きにより大正年間には桜の名所として人気を博した。