十二の桜

名木の三代目

13年ぶりに置賜さくら回廊を巡ると、以前と比べて環境が大きく変わったと感じる。自治体は観光誘致に力を入れ、古木の周辺は整備が進み、ソメイヨシノやシダレザクラの若木が所狭しと植えられている。案内板も一新され、目指す桜はここでござるとばかりに鮮やかな幟の主張が強い。一見華やかだが一本桜の風情は失われ、筆者としては痛し痒しである。

さて、十二の桜もそんな桜の一つ。案内板は小綺麗になり、周辺には桜の若木が賑やかである。以前は田んぼ越しにカメラを向けると、朝日連峰を背景に風情のある景観だったが、今では他の桜に埋もれてしまい、どれが目当ての桜なのか分かりづらい。

十二の桜は薬師如来信仰の守護神、十二神将に因むとされる。現存の桜は三代目にあたり、初代は平安後期に植えられたという。二代目は昭和初期まで生きていたが、台風により衰弱。今は三代目の根元に古株が残っている。


Note鮎貝氏の祖にあたる藤原安親が植樹したと言われるエドヒガンの三代目ひこばえ。初代、二代目は枯死しており、二代目の株が桜の根元に残っている。この辺りはかつて小字十二神との字名があり、かつては十二神堂が建てられていたと考えられている。桜の名称もこれに因むと思われる。
撮影2024年4月14日
名称十二の桜
別称種まき桜
樹種エドヒガン
所在地山形県西置賜郡白鷹町山口4006
指定なし
樹齢不詳※
樹高不詳
根回不詳
幹周不詳
枝張不祥
出典 現地案内板
※樹齢400年と紹介するサイトもあるが、2代目の樹齢と混同しているものと思われる。