久遠寺のしだれ桜
久遠寺は750年近くもの歴史を誇る日蓮宗の総本山。その壮麗な伽藍にはシダレザクラの古木が彩りを添える。中でも仏殿前と祖師堂前に立つ2本のシダレザクラは名木の誉れ高く、樹齢400年と伝えられている。見頃は例年3月下旬ごろと、周辺の桜よりも1週間ほど早くピークを迎え、首都圏からもアクセスのしやすい立地から多くの花見客で賑わう。2010年に一度訪れたがとにかく人が多く駐車場も満車で、ろくに撮影もできず這々の体で退散した。それから10年、近くに宿を取り、時間にゆとりを持って周辺の桜を巡った。
祖師堂前のシダレザクラ。朝日を受けて妖艶なほどに輝いている。境内は早朝5時半から拝観できる。桜全身に光が回るのは7時ごろである。ちなみに身延山周辺は、桜の時期は交通規制される。前もって久遠寺の公式サイトを確認するか、早朝に駐車場に車を放り込んでしまうことをおすすめする。
日中は多くの参拝客で賑わう境内も早朝は静かである。朝のお勤めが7時前ごろから始まり、境内に声明が響き渡る。総本山だけあり、信仰が生きている。
仏殿前のシダレザクラ。こちらも樹齢400年と言われているが、祖師堂前の桜と比べれば枯損が進んでいる。駐車場が近いためだろうか。失われた枝を補完するように、すぐ隣に比較的若いシダレザクラが立っており、一本の桜のように見える。
10年ぶりに訪れたがゆっくり見ることができてよかった。信仰の息づく地で荘厳な伽藍を背景に咲き誇る桜は他の名所にはない美しさがある。日本の仏教の主だった宗派はいずれも京都か奈良、鎌倉に本山を構えており、ゆえに、これほど立派な伽藍もまたそれらの地域でしか見られない。さらには、これほどの桜の古木が花を咲かせる本山は、他にはないだろう。見事な伽藍と桜が並び立つ久遠寺は、唯一無二の名所と言える。
Note | 久遠寺は日蓮宗の総本山。境内にはシダレザクラの古木が立ち、中でも祖師堂前の桜と仏殿前の桜は名木の誉れが高い。 |
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撮影 | 2020年3月21日、22日 |
名称 | 久遠寺のしだれ桜 |
別称 | なし |
樹種 | シダレザクラ |
所在地 | 山梨県南巨摩郡身延町身延3567 |
指定 | なし |
樹齢 | 400年 |
樹高 | 不詳※ |
根回 | 不詳 |
幹周 | 不詳 |
枝張 | 不詳 |
出典 | 身延町公式サイト ※樹高15mと紹介するサイトもあるが出典が不明のため、ここでは不詳とする。 |