種蒔ザクラ

かつての種まきの目安

現地の案内板に曰く、

その昔、源義家に亡ぼされた安倍貞任が、出羽の賊の首領太郎松と組んで地方農民を苦しめた。農民は山深く遁れ、春の種蒔く時期を失った。人々が心を痛めて帰ってみると、田畑には芽が生えており、この桜の根方に沢山の五穀の種子が溢れていた。これはきっと桜の精が救ってくれたのだと誰いうとなく「種蒔桜」というようになった。それ以来、この花の咲く頃に種を蒔けば豊作疑いなしと人々は大切にして来た。

とのこと。

丘の斜面に立ち、平野部を見下ろすこの桜は、かつては離れた農地からもよく見える種まきの目安だったのだろう。今では周辺に民家や倉庫が建ち、桜の背後には電線が巡らされている。駐車場が整備され、案内板が設置されているが、花期というのに花見客はいなかった。

現地には案内板が二つある。一つは平成4年に設置されたもの。もう一つは令和4年に設置されたもの。新しい方の案内板によれば、樹齢は「伝・平安時代後期から」とのこと。近づけば、たくましい幹に圧倒される。ちなみに安倍貞任を調べてみると、1062年の没であるという。その時代から桜があったのだとすれば樹齢は1000年近いはずだが、確かに数百年は生きている桜だろう。古い方の案内板によると樹齢は「700年余」とのこと。新しい案内板は伝承に合わせたのだと思うが、個人的には700年程度がしっくりくる。それにしても枝の間を通る電線は、致し方ないのだろうがあまりにもあまりにも、である。

Note 寒河江市白岩地区に立つエドヒガンの古木。古い伝承を持ち、地元の農民の手によって大切にされてきた。
撮影 2024年4月12日
名称 種蒔ザクラ
別称 白岩の種蒔桜
樹種 エドヒガン
所在地 山形県寒河江市白岩字陣ヶ峯3006-1
指定 県指定天然記念物
樹齢 伝・平安時代後期※
樹高 16.0m
根回 不詳
幹周 6.23m※
枝張 不祥
出典 ※現地案内板