オサヤジの種まき桜

塞の神の社の神木

筆者は地元の歴史と深く関わってきたような桜が好きで、その桜に方言めいた名称が付いているとさらに魅力を感じる。山形を回るときにこの桜の存在を知り、「オサヤジ」なる謎の単語が気になった。案内板によると「オサヤジ」とは御塞神(オサイジンと読むのだろう)の略称とあり、つまりは塞の神のことである。明和元年(1764年)にはこの地にすでに塞の神が祀られていたというが、今では愛染神社と呼ばれている。

愛染といえば仏教の愛染明王が思い起こされるが、民間信仰の塞の神とどう結びつくのだろう。調べてみると、塞の神は生殖の神でもあり、愛染は仏教用語で愛に執着することを意味するようだ。異なる信仰の近しい言葉がどこかで結びつき、今日に至るのかもしれない。また、塞の神は豊穣の神でもあるという。おそらくは桜の名称の由来となっているのだろう。

桜は樹齢650年、山形県内では霞城のサクラや殿入サクラと同じ年代である。主幹が失われ、その脇から枝が成長して樹冠を形成しているところも共通している。
周囲には背の高い木々が立ち、桜全体に日差しが回るのは10時を過ぎる。筆者は8時半頃に一度立ち寄ったがまだ日陰に隠れていたため、二度立ち寄った。


Note愛染神社の社の背後に立つエドヒガンの古木。オサヤジとは御塞神が転訛した言葉であり、塞の神のことを指す。
撮影2024年4月13日
名称オサヤジの種まき桜
別称愛染神社の桜
樹種エドヒガン
所在地山形県山形市大字松原1165-4
指定市指定天然記念物
樹齢650年※
樹高17.0m※
根回不詳
幹周5.8m※
枝張不詳
出典 ※現地案内板