子守堂の桜

置賜地方指折りの名木

桜旅で地方に遠征すると本当に子どもを見かけなくなったと思う。ところが置賜を回っていると、意外なほど子どもの姿を見かけて驚いた。この子守堂の桜でも子どもたちが元気に遊び、駆け回っている。桜も素晴らしかったが、その子どもたちの姿がとても印象に残った。

町を一望するこの地はかつての鮎貝城の一画であった。桜のそばには子守神社があり、桜の名の由来となっている。伝承に曰く、鮎貝城主の娘を育てあげ、姿を消した子守の童女を仏の化身として祀っているという。城主の子どもたちは皆早逝し、残る娘も病弱であったが、童女に育てられてからは丈夫に育ち、以後家系は絶えることなく続いた。娘を育てた後、童女は場内の桜のもとに草履を残し、忽然と消えてしまったという。余談だが、この伝承は1700年代の話で、時の城主は本庄家三代義長公で、子どものみならずご本人も24歳で早逝している。

置賜地方には樹齢1000年級の桜が5本あるが、中でもこの桜は最も樹勢がある。樹冠も大きく形も良い。置賜きっての名木であると思う。地元の方々の手入れも行き届いているのだろう。

鮎川城が廃城になった後も、桜と子守堂は地域の宝として大切にされている。子守の伝承が残るこの地には、子どもたちが駆け回る姿がよくあっている。


Note子守堂の傍にたつエドヒガンの古木。
撮影2024年4月12日、4月13日
名称子守堂の桜
別称なし
樹種エドヒガン
所在地山形県西置賜郡白鷹町鮎貝
指定県指定天然記念物
樹齢1000年※
樹高14.51m※
根回10.30m※
幹周7.15m※
枝張不祥
出典 ※山形県公式サイト「山形の宝」