後庵ザクラ

真横に伸びる桜

後庵ザクラは比較的新しくさくら回廊入りした桜のようで、以前に置賜を回ったときはその存在を知らなかった。枯死した桜もあるので新入りも増やさなくては数勘定が合わなくなるという台所事情もあるのだろう。樹齢は680年と伝わり、本当なら古典桜として申し分ない歴史を持っている。

桜は畑の盛土の側面から這い出るようにして幹を伸ばしている。崖っぷちでこのような伸び方する桜は時々お目にかかるが、平地でこのような過酷な環境に生きる桜はなかなか見ることがない。幹の途中からぐにゃりと曲がり、空へと伸びていくのは光を求める樹木としての特性ゆえか。小ぶりな桜ながら凄まじい生命力である。

この辺りはかつての鮎貝城の北側にあり、医師が庵を構えていたとのことから後庵(城の後ろの庵)の名がついたのだとか。あたりは花見客には便利な場所ではなく、民家が立ち並んでいるのため車を止めるのも憚られる。桜回廊入りする前はそう知られた桜ではなかったのだろう。ちなみに撮影には午後が良い。午前は背後の杉林が日差しを遮るので。


Note白鷹町鮎貝地区の田園地帯に残るエドヒガンの古木。鮎貝城の北側に後庵(城の後ろの医者の意)と呼ばれる医者がいたと伝えられており、桜の名の由来となっている。畑の側面に根差し、日差しを求めて幹を大きく曲げながら育っている。
撮影2024年4月13日
名称後庵ザクラ
別称なし
樹種エドヒガン
所在地山形県白鷹町鮎貝3324-10
指定県指定天然記念物
樹齢680年※
300年以上※2
樹高16.0m※
根回不祥
幹周4.6m※
枝張不祥
出典 ※現地案内板