一心行の大桜
阿蘇山の山懐に抱かれながら雄々しく咲き誇る大桜。以前よりぜひこの目で見たいと思っていた。もう何年もチャンスを窺っていたが、ヤマザクラだけに花期は短く、いつも天気と休みと見頃が合わない。行くと決めてからようやく訪問するまでに10年もの歳月が経ってしまった。
この日は10時から博多で仕事。前日に熊本入りし、早朝一目でもと思い訪問したが、なんということか、コロナ禍の影響らしく早朝の入場はできなかった。10年間もモタモタしてる間に状況は大きく変わってしまったようだ。とりあえず柵の外から一枚。
しばらく待っていると受付の係の人が出勤してこられ、大阪から来たと話すと時間前に入場させてくれた。一番乗りできたので、人を写さず広々と撮影。災い転じて福となった。
10年越しに邂逅できた桜は思っていたよりもずっと傷ついていた。先の震災もその身を痛めつけたのだろう。多くの枝は剥き出しになり、花をつけていない。しかし、無数の枝を大きく広げ、懸命に花を咲かせる姿はやはり大桜と呼ぶにふさわしい。青いテントや感染対策の張り紙には興醒めだが、桜そのものは噂に違わず素晴らしい。少し無理をしたが短い時間だけでも来てよかったと思う。