瀧蔵神社の権現桜
どんな花を咲かせるか
瀧蔵神社は長谷寺の奥の院とも言われる古社。その参道を覆うようにして一本のシダレザクラが立っている。いや、立っているというよりは突き出ているという表現の方がふさわしい。そう、この桜は石垣の角からほぼ真横に幹を伸ばしている。
奈良には足場の悪いところに立つ桜の名木が多いと感じるが、これはその最たる例。支柱に支えられているとはいえ、よく400年もの間倒木しなかったものだと感心する。
権現桜はその名の通り権現様のお告げにより植えられたとの伝承を持つ。神木ゆえに手厚く保護され、神力によりこのような特異な姿をしているのか。
桜は生まれ落ちた環境を変えることはできない。それゆえ過酷な環境にもかかわらず見事に花を咲かせる。盛岡の石割桜でも感じたが、どんな環境に身を置くかではなく、どんな花を咲かせるかが大事なのだと、教えられるようだ。
Notes
撮影:2022年4月9日
別称:瀧蔵神社のシダレザクラ
樹種:シダレザクラ
所在地:奈良県桜井市瀧倉600
指定:県指定天然記念物
樹齢:400年
樹高:4.2m
根回り:不明
幹周り:3.0m
枝張り:不明
概要:
瀧蔵神社の境内の石垣から突き出るようにして立つシダレザクラの古木。約400年前、村の翁の枕元に瀧蔵権現が立ち、境内にシダレザクラを植えて欲しいと告げたとの伝承が残る。