天神坂夫婦桜

松前三大名木

夫婦桜といえば立ち並んでいる2本の桜をそう呼ぶことが多いが、ここ松前には一本で夫婦桜と呼ばれる名木がある。同じ幹からソメイヨシノと南殿の二種類の花が咲くという珍しい桜で、光善寺血脈桜、龍蔵寺蝦夷霞桜とともに松前の三大名木と呼ばれている。ぜひとも二種の花が咲き揃った姿を見てみたいと思っていたが、初めて松前を訪れたこの年、南殿は見頃でソメイヨシノは散り果て。残念ながら夫婦揃ってのお出迎えとはならなかった。

天神坂を登り切ると樹種の違いがよくわかる。向かって左の葉桜がソメイヨシノ。右のピンクの花が南殿。松前の南殿の多くは血脈桜を原木とし、昭和初期に鎌倉兼助氏によりソメイヨシノに挿木され、今に至る。夫婦桜は台木のソメイヨシノもそのまま成長し、生き残った。他の夫婦桜の中には伴侶が枯れ、未亡桜となったものもあるが、この夫婦は枯れるまで同じ生を過ごすのだろう。

松前城周辺は道南でも一・二を争う桜の名所で、城跡を中心に1万本、250種もの桜があり、1か月近く花を楽しめる。その「桜の松前」の基礎を作った人こそ兼助氏であり、その功績は今も語り継がれている。氏は松前町の役場の一職員だったが、私財を投じて30年に渡り桜を植樹し続けたという。


Note 松前城跡の東側入口、天神坂の門前に咲くソメイヨシノと南殿の連理木。松前城跡の南殿の多くは昭和初期にソメイヨシノを台木として挿木されたものだが、これはソメイヨシノの枝も合わせて成長したという珍しい桜で、2007年に名付けられた。ソメイヨシノが夫、南殿が妻とされている。
撮影 2024年4月27日
名称 天神坂夫婦桜
別称 なし
樹種 ソメイヨシノ・サトザクラ
所在地 北海道松前郡松前町松城303
指定 なし
樹齢 昭和初期の植樹
樹高 不詳
根回 不詳
幹周 不詳
枝張 不詳
出典 なし