愛蔵寺の護摩ザクラ

育たぬ桜

朝一で訪れた合戦場のしだれ桜を早々に切り上げ、愛蔵寺に向かう。2年前に来たときは夕方の日が落ち込んだ後で思うように写真に残せなかった。小さな寺なので、早朝に日差しが届いているか心配だったが杞憂に終わった。境内を囲む木々の上から日が差し込み、桜を照らしている。ほんのりと赤く染まり美しい。

何百年も大きさが変わらず「育たぬ桜」などとも言われたらしいが、境内が狭いだけに十分な大きさに見える。幹には無数のコブ状の隆起が現れ、風格も素晴らしい。

案内板によると、桜の名の由来は二つある。火災の折、護摩札が飛来し桜に留まったこと。この地に植えられて以来、花の量や樹形が変わっていないこと。ここからは、愛蔵寺がこの地に移転してきたことと、火災に遭っていることが分かるが、時系列上どちらの出来事が先なのかは判らなかった。

大昔にこれほどの大きさの桜を植樹する技術があったとは考えにくいので、この地に植えられた桜が大きくなり、今の姿になったと考えるのが自然だろう。とすれば、火災が起きたのはその後か。

火災の時に護摩札が飛来してきたと言えば、何か超常的な力が働いたかのように聞こえるが、火災により起こった風に乗って飛んできたのかもしれない。一般的に、桜の古木の来歴はツッコミどころが多いものだが、その行間を埋めるように想像するのもまた楽しい。

Note過去に愛蔵寺が火災に遭った際、護摩札が飛来し、桜に留まったという。以来護摩ザクラと呼ばれるようになった。愛蔵寺はかつて麓山(現二本松市田沢麓山)の中腹にあり、のちに現在の地に移転。それから樹形、花の量が変わっていないと言われ、育たぬ桜とも呼ばれている。
撮影2021年4月3日
名称愛蔵寺の護摩ザクラ
別称育たぬ桜
樹種シダレザクラ
所在地福島県二本松市字細田10
指定市指定天然記念物
樹齢800年※1/300年※2
樹高9.8m※1
根回3.45m※1/4.4m※2
幹周3.3m※1
枝張不祥
出典※1:現地案内板/※2:二本松市公式サイト