足の口観音堂のしだれ桜

里山の原風景

上山市の東端に位置する権現堂足ノ口地区の田園風景に溶け込んで、桜に囲まれた小さな赤い祠がある。中には千手観音が祀られており、江戸中期の享保年間には上山三十三ヶ所観音の三十一番札所として参拝者を迎えていたという。今は田舎の農村でよく見かける小さな祠である。祠の前には短い石段と、鳥居がある。神仏習合の名残りだろうか。

筆者が訪れたときは丁度塗装を新しくしたばかりのようで、祠の朱塗りが鮮やかだった。その隣には祠を覆う天蓋のようにシダレザクラが枝を広げている。時刻は7時を少し過ぎた頃、辺りには誰もおらず時間が静かに流れている。空は快晴で、桜は陽の光を受けて心なしか気持ちよさそうに見える。これぞ里山の原風景、心が洗われるような景色だ。こういう風景に出会うために、筆者は桜巡りを続けているとさえ思う。

樹幹はそれなりに立派な桜だが、近づいてみると幹はまだまだ細い。今の祠が明治に建てられたものだそうだが、桜も同じころに植えられたものではないか。

Note 足の口観音堂の傍に立つシダレザクラ。朱塗りの祠とともに牧歌的な景観を成す。桜そのものの来歴は不明。
撮影 2024年4月13日
名称 足の口観音堂のしだれ桜
別称 なし
樹種 シダレザクラ
所在地 山形県上山市権現堂足ノ口536-1
指定 なし
樹齢 不詳
樹高 不詳
根回 不詳
幹周 不詳
枝張 不詳
出典 なし